2015/08/08

神様の飼育箱

生まれた世界の歪さを
知りながら「地球は丸い」なんてよくもまあ
右も左も見渡せば
顔のない人の群ればかり
ああもう狂ってしまいそう

生まれた世界の醜さを
知りながら「地球は青い」なんてよくもまあ
傾きかけた灯台の
薄明かり一つだけが頼りだった

今日もまた使い捨ての神頼みが
太り過ぎた焼却炉の餌になっていく

手の中で消えてしまった
あなたまでは届かなかった
夕陽に染まった午後6時の
見慣れた違和感が

針の折れた時計塔に
繋がれてはまた逃げ出して
繰り返しながら生きていくんだよ
ここは神様の飼育箱

生まれた世界の詰屈さを
知りながら「地球は広い」なんてよくもまあ
あれやこれやと手にしては
くだらない見栄の張り合いに溺れそう

少しずつ剥がれ落ちた化けの皮が
痩せ細った頭ん中を壊していく

掌で溶けてしまった
彼方までは届かなかった
触らぬ神には祟りなしと
知らん振りも慣れた事

針の折れた時計塔に
縛られてはまた逆らって
繰り返したのは何度目だろう
明日が音も無く崩れていく


手の中で消えてしまった
あなたまでは届かなかった
夕陽に染まった午後6時の
見慣れた違和感は

自尊心すらも握り潰して
それでもまだ足りなくなって
狂っていくのをただ観ている
ここは神様の飼育箱

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